内科・循環器内科
- )生活習慣病の診療(高血圧、糖尿病、高脂血症)
- )整形外科で入院される患者様へ
1)生活習慣病の診療(高血圧、糖尿病、高脂血症)
高血圧、糖尿病、高脂血症が、生活習慣病と呼ばれ、脳梗塞や心臓病などの、成人病の予防に重要なことはかなりよく知られています。しかし、残念なことに、実際の治療はいまだ不十分であるのが現状です。不十分なのは次の二つの点です。一つは、患者様が病院を受診しないこと。高血圧、糖尿病、高脂血症とも自覚症状がないため、病院を受診しないのです。二つ目は、病院で十分な治療を受けていないことです。
これから少し、この二つについて説明をいたします。
まずは、この図からご説明しようと思います。
まずは、この図からご説明しようと思います。
この図は、福岡県久山町で住民の方々の血圧と脳卒中の発症をグラフにしたものです。大変重要なデータだと思います。解りやすくいいますと、血圧が高いほど、脳卒中になるのです。実際のところは、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHgを越えると、1年に1000人当たり8人の発症があります。10年では80人、20年では160人が麻痺などの脳梗塞の後遺症で苦しむことになってしまいます。180以上のように、年間25人もの方が脳梗塞を起こしてしまうほどの、緊急性はありませんが、十分に注意しなくてはいけないと考えています。また、脳梗塞は、症状に出ない小さな梗塞もあり、そのような小梗塞の蓄積が、将来に、認知症(ボケ)となるもっとも大きな原因と言われています。
今後、非常に早い勢いで進む高齢化社会全体が、豊かで幸福であるためにも、軽症な高血圧のうちから、十分に治療することが必要です。
グラフを見直してみると、140以下まで血圧を下げてあげると、脳梗塞の予防が満足できるものになるのがわかります。このことが、いまだあまり十分には知られてはいないので、高血圧であっても受診していない患者様が、たくさんいる。実際には、全体の高血圧人口の半分くらいに相当すると考えられています。二つ目の問題点は、医師にその大きな責任があると思います。当院における高血圧患者様の、収縮期血圧が140以下になっている割合を、年度ごとに表にして見ました。
2002 | 2004 | 2006 | 2008 | 2010 | |
収縮期 | 142 | 136 | 136 | 134 | 135 |
拡張期 | 76 | 86 | 75 | 76 | 75 |
達成率 | 40% | 75% | 84% | 92% | 93% |
データを取り始めた2002年は、140以下の達成率が40%と、大変低率でした。その時期の血圧をひとりひとり見ていくと、140台の血圧コントロールが集中しており、医師がそれ以上の治療をしなかったことがわかりました。これが、コントロールがよくなかった原因でした。 以後は、徐々に降圧薬を増量し、2010年では93%の方が、目標を達成していることがわかります。平均血圧の135/75は、高血圧の世界規模の臨床研究に匹敵する値になりましたので、高血圧治療は、ひとまず合格点をもらえそうです。残念なことに、10年前の私たちの治療レベルにとどまっている患者様が、やはり全体の高血圧患者様の半数くらいいると考えられています。 このように、生活習慣病の治療は、患者様と私たち医療サイドが、十分に協力して、結果を共有しながら治療をしていくことが必要です。今後も、世界の治療の流れを見ながら、私たちの病院での治療実績をモニターして、診療を続けていこうと思っています。
いろいろと小難しいこと、えらそうな事をお書きしましたが、最後に一言。 生活習慣病は、これから、長くじっくり付き合っていかなくてはいけない病気です。そのためには、何をしてはいけなくて、何をしなくてもよくて、また、何をしてもいいかなど、具体的にお話をしていこうと思っています。「楽しくない習慣は続かない」が私の経験から導き出した実感です。その実感を裏切らないような、診療が出来たらよいと思っています。
いろいろと小難しいこと、えらそうな事をお書きしましたが、最後に一言。 生活習慣病は、これから、長くじっくり付き合っていかなくてはいけない病気です。そのためには、何をしてはいけなくて、何をしなくてもよくて、また、何をしてもいいかなど、具体的にお話をしていこうと思っています。「楽しくない習慣は続かない」が私の経験から導き出した実感です。その実感を裏切らないような、診療が出来たらよいと思っています。
2)整形外科で入院される患者様へ
安全に手術を受けていただくためには、しっかりとした準備が必要です。
- )健康診断で指摘はされたけど、放置しておいた糖尿病や高血圧は、急いで内科を受診しましょう。
これが、手術が延期になる最も多い理由です。 - )現在かかっている、内科の医師に手術について相談しましょう。
ほとんどは、整形外科の医師が連絡をしていると思いますが、ご自分からもお願いします。 - )禁煙しましょう。
特に全身麻酔は、喫煙者の方が危険度が高いことがわかっています。
手術2週間前を目安に、思い切って禁煙してみましょう。 - )何か心配なことがありましたら、ご遠慮なく相談してください。
特に、入院直前に体調の変化があった方は、入院後すぐに連絡してください。
内科・循環器科常勤医師
- 中川 泉
- 中川 照久