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上肢・肩関節
肩関節脱臼・腱板断裂・五十肩・スポーツ障害肩

肩関節

肩関節は人体の関節の中で最大の可動域 (動かすことのできる範囲)を持った関節です。そしてたくさんの筋肉がバランスよく動くことによってさまざまな動作を可能にしています。
そのために生じる病気も数多く存在します。
筋肉や腱などの炎症、断裂によって肩が痛くなることや(腱板断裂)、関節包(骨を包む袋)の障害によって肩が脱臼しやすくなる(反復性脱臼)などが代表的なものです。
肩関節鏡は皮膚や筋肉の正常な組織を出来る限り損なわず、炎症や断裂している部分を観察し、修復することが出来る手術方法であり、近年盛んに行われるようになってきました。当院では竹内医師が治療を行っています。ここでは、肩関節の代表的な病気(疾患)と、当院で行っている肩関節鏡手術について紹介します。

肩関節脱臼

スポーツ中のけがで外れる場合が多く、肩をぶつけてしまったり、転倒したときに発生します。一度外れると肩が外れやすくなり(脱臼癖)、肩を動かすと外れそうな不安感が生じます。

どうして外れやすくなるの??

肩関節を包んでいる関節包という袋の中にある関節上腕靭帯や関節唇が肩甲骨関節窩から剥がれてしまうために、上腕骨が関節から外れやすくなっています。

診断は??

関節上腕靭帯や関節唇は骨ではないので、レントゲンには写りません。そのため、MRIや造影CT検査を行う必要があります。これらの検査を行うことにより、靭帯や関節唇の断裂が診断できます。

治療法は??

断裂した靭帯や剥がれた関節唇をもとの位置に戻す手術を行うことによって、不安感はなくなり、外れないようになります。手術方法として現在、関節鏡手術と直視下手術の二種類の方法が行われています。
1.直視下手術(切開手術;メスで大きく切る手術)
従来から行われてきた方法で、手術後の再脱臼が少ない(約5%)という利点がありますが、 傷が大きく、外旋動作(肘を曲げて前腕を開く動作)の制限が残りやすく、かたくなる場合があります。
切開手術の傷
2.関節鏡手術(内視鏡手術;メスで穴をあけカメラで観察し、処置する手術)
正常な皮膚や筋肉などの組織の損傷が少なく、傷が目立たない、痛みが少ない、動きの制限が少ないなどの利点があります。

関節鏡手術の傷
鏡視下手術症例数343例(2003年4月~2023年12月)
2003年
2004年 
2005年 
2006年 
2007年 
2008年 
2009年 
2010年 
18例
26例
19例
27例
22例
14例
13例
19例
2011年 
2012年 
2013年 
2014年 
2015年 
2016年 
2017年 
2018年 
20例
10例
25例
10例
42例
13例
11例
9例
2019年 
2020年 
2021年 
2022年
2023年
9例
12例
13例
6例
5例

腱板断裂

腱板とは肩を挙上するための筋肉の総称で、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4本の筋肉を言います。これらの筋肉が協調して肩が動きます。腱板断裂とはこれらの筋肉の腱部分が切れてしまう状態です。

どうして切れるの??

転倒するなどのけがが原因となる場合と、肩の使いすぎで擦り切れる場合があります。

症状は??

肩が挙がらない、肩を挙げる動作が痛い、夜寝るとシクシク痛い、などが主な症状です。

診断は??

腱はレントゲンには写りません。腱の断裂はMRI検査によって発見できます。

治療は??

痛み止めの内服や注射、リハビリといった保存療法で痛みがなくなる患者さんが多いです。

手術??

3ヶ月以上痛みが続く人や、肩をよく使う人、肩に力が入らない人などでは、手術が必要となることがあります。

手術方法は??

腱の切れた大きさによって手術方法を選択します。
1.腱板の断裂が小さい場合
関節鏡手術が可能です。
関節鏡視下腱板縫合術
腱の断裂部位を関節鏡を使って確認し、アンカーという糸のついた釘を骨に埋め込み腱を縫合する方法です。
小さい断裂の場合は、アンカーを1つ、大きい断裂の場合は、アンカーを3個から4個使って断裂した腱板を縫合します。
2.腱板の断裂が大きい場合
関節鏡手術か切開手術か??

腱の断裂が大きい場合、関節鏡手術や切開手術を行いますが、縫合した腱が再断裂する危険が高く注意が必要です。手術後は装具や枕を肩に装着し注意深くリハビリを行います。

手術の後は??
装具や、枕、三角巾、バストバンドなどを使って、肩を固定します。
リハビリの先生と徐々に肩を動かす訓練を行います。
日常生活は1~2ヶ月で可能となりますが、筋力が十分回復するまでに3ヶ月はかかりますので、重いものを持つ動作(重労働)は3~6カ月は控える。
鏡視下手術症例数3,110例(2003年4月~2023年12月)
2003年
2004年 
2005年 
2006年 
2007年 
2008年 
2009年 
2010年 
24例
34例
61例
91例
124例
128例
121例
103例
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
184例
178例
217例
203例
218例
213例
277例
186例
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
152例
186例
128例
140例
142例

五十肩

五十肩ってどんな病気??

“肩関節周囲炎”、“肩関節拘縮”などいろいろな病名で表現されます。肩関節包という肩関節を包む袋の中で炎症を起こすことによって起こる病気です。

どんな症状がでるの?

肩が動かない、動かすと痛い、夜寝ているとシクシク痛いなどの症状がでます。

診断は??

骨の病気ではないのでレントゲンでは診断が困難な場合があります。また、腱板断裂の症状とよく似ているため鑑別が必要です。MRI検査で腱板が切れていない、造影検査で関節が広がらないなどで診断を確定します。

治療法は??

痛みの強い時期には痛み止めの内服や注射で痛みを和らげます。痛みが少なく固まってしまった時期では、ストレッチなどのリハビリを行うことで動きが回復してきます。

手術??

注射やリハビリを行っても動きが良くならない場合に手術を行います。 関節鏡を使って硬くなった関節包を切離する方法で肩の動きの回復に努めます。
鏡視下手術症例数43例(2003年4月~2021年12月)
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
8例
8例
13例
5例
4例
2例
2例
1例
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
0例
0例
0例
0例
0例
0例
0例
0例
2019年
2020年
2021年
2022年
0例
0例
0例
0例

スポーツ障害肩(投球障害肩)

野球の投球動作や、バレーボールのアタック、テニスのサーブなどの動作を繰り返すことで、肩の痛みが発生します。筋肉の疲労で起こるので、安静にしていると回復する場合が多いですが、痛みを我慢して続けた場合、腱板断裂や関節唇損傷などが起こってしまいます。腱板断裂や関節唇損傷が起こってしまうとリハビリや注射などでは痛みが取れなくなり、手術が必要となる場合があります。手術は関節鏡を使って損傷部位を確認し、修復します。関節唇縫合や腱板縫合は脱臼手術、腱板手術の項目で書いた通りです。
整形外科
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11:30

 
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